米GRADO社のオープン形ヘッドフォンです。同社のヘッドフォンのなかで中間層を担うプレステージモデルのフラッグシップモデルとなります。 なんといってもその特徴は外見に求められるでしょう。シルバーのアルミニウムチャンバーは見た者にGRADOという会社がどういう会社か、それとなく悟らせることとなります。

SR325isですが、その音質は攻撃的そのもの。
オープン型ゆえの抜けの良さに厚みのある低域が加わり、その躍動感、ノリの良さはまさに黒船襲来。
しかし決して軽い音ではなく、重厚さを感じさせます。
高域は大変な量感をもって押し寄せてきて、鼓膜が、脳が犯されるのではと錯覚するほど。
繊細さと硬さを併せ持つ尖った音です。ややもするとキンキンと耳障りに感じられるかも。条約締結。
ヴォーカルは低域、広域にも埋もれず前へ前へと出てくる印象。
明瞭な音の輪郭は硬さからくるものかもしれませんが、それ故臨場感が強く感じられます。開国宣言。
全体的には音の立ち上がりが速く、スピード感で勝負するヘッドフォンと言えるでしょう。

その他の点として、装着感はお世辞にも良いとはいえず、独特のイヤパッドが長時間のリスニングを妨げます。
しかし、GRADOに求めるのはGRADOらしさである、というトートロジーを信じ、自分の耳を慣らしていくしか無いかと思われます。
また作りが安っぽいとの批判も全く甘受する他ありません。
それらを差し引いてもGRADOのヘッドフォンには他にはない音があります。是非とも１台は手元に置いてみて頂きたいです。

witten by makotin（2012/8/18）